たったこれだけ!元大手予備校講師が教える読書感想文の書き方のコツ  ー最近の話題作の中で『告白』ー


読書感想文 書き方 コツ ブン子

最近のヒット作の中で『告白』(湊かなえ著)


この『告白』(湊かなえ著)これで読書感想文書きたいっていう方多いのではないでしょうか?

最近の話題作の中で自由に選ぶとしたら?と考えても、『告白』良いと思います。
ストーリー展開も、ドキドキはらはらしながら、スピーディに読める上、会話文が主体なので、大変、読みやすく、しかもいろいろ考えさせられる、それだけ切り口も多くできるという点で『告白』良いと思うのです。
小学生低学年には難しい・・・?そうですね、
小学生ならば中学年、高学年・・・?
内容的には、中学生以降の方、中学生や高校生向けかな、と思います。


どの本も、読書感想文を書く際に、切り口は何通りもあります。
『告白』も読書感想文、何通りにも書けますが、

一つ注目したいところとして、
「人間がいかに思いこみ?自分の心象風景が、
現実とたがわないと信じて生きているか」
ということがあると思います。

・世直しやんちゃ先生の血液を入れた→復讐したと思う女教師
・自分が感染しているかもと恐怖にとらわれおかしくなっていく生徒直樹
・幼少期に別れた母への気持ちがこうじて、手段が激しくなる修哉
簡単に説明するとこんな感じですが、

 

まだ読んでない人には、ネタバレになるのを承知でいえば、
みんな現実は実は違っていた、ということなんです。
・自分は間違いなく復讐した、と信じる。
・自分は感染したと思う恐怖が、自分の生活もかえてしまう。
・自分の心の中に抱き続けた母親像と現実のナマの母親本人の違い。
このへんに着目すると良いと思います。


この本で読書感想文を書く場合、いくつも切り口がありますが、
また少し見方を変えて、
「自分の幸せも達成感も、いかに現実より、心の中にあるか?」というのも
切り口の一つにできるでしょう。

ある意味人間だれもが、心の中の世界で生きているといってもいいのです。本当は誰も気にしてないのに、髪型がうまくいかないと、みんなに気づかれてるような気持ちになったり。一人それで焦ったり。
大した勝ち負けじゃないのに、目先の誰それとの勝ち負けがこの世のすべてのような気がしたり。
簡単に身近な例をあげれば、そういう経験よくあるのではないでしょうか?
それが発展していくとこういうこともありというストーリーとしても読めると思います。


ほかにも、『告白』で読書感想文を書く際の切り口として、
「相手のためにしていることがいかに自己満足にすぎないのか」というのも書ける切り口になると思います。

・牛乳パックをこっそりとりかえた、やんちゃ先生、
・生徒のためにとおもって行動して逆に追い詰めていく寺田先生
・息子のためにと思って行動しているつもりが、息子のためになってない直樹の母親
・家族にうつさないようにと必死になるあまり、精神的に追い詰められ、母親を殺すにいたる直樹

ここで共通しているのは、相手に良かれと思ってやっている、ということなのです。
相手にそうしてほしいか?ということの了承をとってではなく、自分が自ら勝手に。
平たく言ってしまえば、そう、勝手に行動していく、その結果がまた、自分たちの意図とは違って出てしまうこともある、ということなのです。


あと、また違う『告白』切り口として、「裏切り」というのもあげられるでしょう。
裏切りといっても何通りも『告白』の中からとりあげることができます。
たとえば、

・自分のイメージと現実の違い→現実とは常に裏切る場合も多い、それはなぜ?
・身近な人であっても、自分の本心が伝わるとは限らない。

直樹と直樹母、やんちゃ先生と女性教師、修哉と修哉母、そんな人間関係から、共通して浮かび上がる「裏切り」
ここに目をつけてみるのも手です。
長さがある程度ある本なので、それぞれの人間関係を、ざっとノートに書き並べてみると整理しやすいかと思います。
「裏切り」といっても、一般的なイメージの悪意からくるものもあれば、
相手のために良かれとしてやっていることが、知らず知らず、歯車の掛け違いのような、
ズレが起こって結果的に、裏切っていく・・・ということにもなります。
修哉母も、離婚で修哉とは会ってはいけないという約束事があったため長年会えなかったわけですが、
時がたつにつれ、母親の中では、だんだん修哉の存在も薄まるというより、
修哉のことを意識したら母親自身つらかった時期なわけでつらくなってしまうという理由だってあったかもしれないのです。
幼少期の修哉に手をあげてしまっていた母親からすれば、修哉に悪いことをした、という気持ちもあって、
余計いまさら修哉の心をかき乱すのはやめよう、と修哉のことを気にしていてもあえて我慢して会わなかったのかもしれない。そんなふうにも考えることもできます。
裏切りは愛情からくるものもあれば、裏切ったがゆえに愛情になるものも。
そんなふうに、考えるときは、一方通行だけでなく、その逆もありかな?と考えてみます。
いろんな切り口、例えばA→Bと考えたら、次は逆はどうだろう?と考えてみたりすると、思考力もつきますし、
オリジナリティーある文章にもなります。


さらに、「狂気」
これも告白で読書感想文を書くときの一つの切り口にできるでしょう。
冒頭すぐのところでさらっとふれられている、ルナシー事件とT 先生。
熱心な教師だったのに、あらぬバッシングを受けて辞職するにいたったT先生。
そのバッシングは、世間が向けたものですが、果たして、まっとうな考えといっていいのかどうか。
何か事件が起こったとき、その責任を誰かに向けたくなる、という一人一人の何気ない心の動きが、
束になると、世間という形になって、バッシングとして暴走したとき、それも一つの狂気とも言えるのではないでしょうか。
この部分だけで、読書感想文を書いてしまうのは危険ですが、
このT先生の話は、その後の展開の一つの伏線、作者の言いたいことのあらわれ、ともとれます。
母を思う子供の気持ちが追い詰められた形の人間像としての修哉。
子供を思う母と、家族を思いやる子供ゆえに狂気的な生活状態になる直樹。そしてその母親の結末。
復讐にすすみ、最後修哉の母を殺害したのか?ということを感じる展開になる主人公の女性教師。
日常普通にしているときには、自分たちが、犯罪に手を染めるということはないと誰もが思っていますが
人間の普通と狂気そこの境界線は誰しもがとんでしまうようなものかもしれない。
「狂気」ってなに?「普通」ってなに?「犯罪」って逮捕されなければ、犯罪じゃないのかどうか。
普通に良識的に行動してるつもりのことが犯罪的行動だった・・・これは、ルナシー事件で、T先生をバッシングした世間にみることができますが、そのへんからスタートして、メインの登場人物の行動の過程、その結果を書き並べてみると深い考察ができます。


『告白』の面白さ、読み応え感のあるところは、
そんな人間の心情がいろいろかみあっていくと、思わぬことになっていく、という、自分たちも日頃悩みがちな、心と周りの関係、人間の心が起こす現実、現実から起こる心の変化、それを肌で感じるようなリアル感を持ってかかれているところではないか、と思うのです。
自分たちの心の中にある、エゴだったり、そういうものが、登場人物それぞれにあり、だからこそ共感もできたり、イライラ感もしたり、という自分の投影もしやすいと思います。

切り口はいろいろ、ありますが、『告白』はストーリー展開も早く、ドキドキ読める上に、考えさせられる部分も多いので、読書感想文の本として、選ぶのも良いかと思います。

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